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弱者男性の「理解のある彼女ちゃん」を10年やった記録

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「理解のある彼女ちゃん」の数が少なすぎて誰も見たことのないツチノコのような存在になっているようです。

類友現象で、私の周りには専業主夫家庭や奥さんのほうが収入が多い家庭は比較的多いのですが(女性側の仕事への熱意が影響するので、高収入女性が多い環境だとそうなります)、メンタルに問題を抱える弱者男性にパートナーがいるのは見たことがないです。

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発達障害の当事者会でも、「発達障害女性+健常男性」または「発達障害女性+健常男性」がほとんどらしいので、「健常女性+発達障害男性」はほんとうにツチノコかもしれません!

「女は下方婚しない」とよく言われますが、最近は「優しいけど低収入の男性(※健全メンタル)」はそこそこ需要があるように思います。

一方、メンタルに問題がある場合はほぼ結婚できないのはネットで言われている通りだと思います。

私は自分自身に安定した収入があったのでうつ病だった弱者男性(繊細で人間よりもずっと弱いから大事にしなければいけないハムスター🐹みたいな扱いをしているので、以降「ハムちゃん」と呼びます)と結婚しましたが、当時は単なる「うつ病(=治る可能性がある)」と誤認していました。

もし結婚当時、うつ病ではなく「発達障害(=日常生活でストレスを感じやすいのでメンタル不安定が続く)」だと正しく認識していたら結婚はしていなかったかもしれません・・・。

理解のある彼女ちゃんが出現する可能性は相当低いと思われますが、レアケースとしてハムちゃんと結婚してからの経緯を紹介します。

目次

弱者男性が付き合って1週間でうつ病に

「優しいだけの男はモテない」とよく言われますが、単に優しさのレベルが足りていなかったり女性が求める方向と違うだけだったりするので、優しい系に対する需要はそこそこあると思います。暴言を吐く系の男性はTwitterでもリアルでも見かけますが、そういう行為をしないからといってそれは「普通」であって「優しい」わけではないですよね。

ハムちゃんは周りの女性からほとんど「優しい」という評価をしてもらえるような「本当に優しい系」です。

デブかつブサイク、見るからに気弱そうなので全くモテてはいませんでしたが、とにかく優しさ値が高いので、付き合い始めたときの共通の友人の反応は「あの人優しいもんね~」みたいなものでした。

付き合って1週間でうつ病になってしまったのですが、「優しい人はうつ病になりやすいのかもしれない」などと考えて特に気にせず、金銭的にもメンタル的にも支えていました。

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うつ病の彼氏を支えていた彼女なら、自分のほかにも1人見かけたことがあります。ネットで女叩きをしている人がイメージするほど鬼畜な人ばかりではないので、うつ病になったり収入がなくなったら即捨てられるのではなく、一定期間はサポートしてくれる人も何割かはいるのではないかと思います。

ただ、ここで重要なのは「一時的なうつであり、治ったらまた優しい彼と楽しい生活を送れる」というビジョンです。それを支えにサポートをがんばっていたので、もし最初の時点で、発達障害由来のうつ病であり、基本的に一生うつ病かうつ状態(うつ病の手前)が続くことがわかっていたら結婚はためらったと思います。

弱者男性が後で離婚されることを覚悟でどうしても結婚したいなら、「メンタル不調がずっと続く」ことは隠して「一時的なメンタル不調」のふりをするしかないかもしれません。

家事目的で弱者男性と結婚

私は自分が仕事をがんばるつもりだったので家事能力が高い人としか結婚するつもりがありませんでした。

ハムちゃんはかなり家事能力が高く、男がメインで家事をするということに全く抵抗がなかったので「今後結婚相手を探してもここまで家事ができる、かつ嫌がらずにやってくれる人を探すのはかなり難しいだろう、それであればとりあえずこの人を結婚で確保しておいてからじっくりうつ病を治すのがいいのではないか」という打算が働いたこともあり、うつ病治療が始まってから割と早い段階で結婚しました。

「理解のある彼くん」漫画を読んでいると、キレたり荒れたりしながらでも一応家事はしている女性が多いようです。(下の画像は「キレる私をやめたい ~夫をグーで殴る妻をやめるまで~」より)

「理解のある彼くん」もボランティアではなくなにか自分にもメリットがあるから結婚しているはずです。子供を産めること、セックスができること、家事育児をしてくれること、ヒーロー願望を満たせることなど・・・。

「理解のある彼女ちゃん」がほとんどいない理由は、このうち「子供を産めること」「セックスができること」のメリットはまずないですし、「ヒーロー願望」も多くの女性はないので、イケメンなど他のメリットがないとなかなか負担と利益が釣り合いません。

私の場合は、女性にしては珍しいと思いますが「ヒーロー願望」が少しあったことと、ハムちゃんは優しく義理堅いタイプなので、うつ病のときに看病してあげたら、回復後に一生恩義を感じて家事育児などをがんばってくれるだろうなと思ったことが結婚した理由です。

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「男は自分の方が収入が低くても家事育児をしないから女性が下方婚しない」という話が出ると、下方婚したくない女性の言い訳のように思う人がいるようですが、これは言い訳ではなくて本当にそういう傾向があると思います。

実際結婚したら家事育児をがんばるタイプもいるかもしれませんが、がんばらなそうに見えるタイプが本当に多いので、「嫌がらずに率先して家事をやってくれそう」なタイプは、うつ病というデメリットを差し引いても貴重なように思えました。

情がわいたなどの理由ももちろんあるのですが、やはり結婚に関しては将来的なメリット・デメリットの見通しも関係します。

「理解のある彼女ちゃん」がデフォルトで持っている「子供を産めること」「セックスができること」がない代わりになにかメリットをつけないと、弱者男性には結婚のワンチャンもないと思います。

イケメンとかマッチョとかもありますが、比較的手軽かつニーズが高いのは「優しさ」と「家事育児能力」ではないでしょうか。

弱者男性と結婚後にうつ病が治って一旦幸せに

結婚を決めた後にうつ病の治療に集中してもらい、一旦回復しました。

その後、予想通り嫌がらずに家事をやってくれたので、一旦幸せ状態が訪れました。

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家事は任せっぱなしだったわけではなく私も料理はかなりやったのですが、「揚げ物料理をした後、いつの間にか揚げ物鍋の残り油が処理されている」「定期的にコンロや換気扇が掃除されている」などのレベルの高い家事能力に満足していました。

最初のうつ病から回復後はハムちゃんも普通に仕事をしていたのですが、数年後にうつ病が再発して仕事を辞めます。

発達障害という言葉はあまりよく知らなかったので、そのときもまだ「優しい人はうつ病になりやすいのかもしれない」と考えただけでした。高校生のときからカウントすると精神疾患系の診断が出たのは3回目でしたが、主治医はそれを知りながらなぜ発達障害の可能性を教えてくれなかったのか謎です。

ただ、このときも私の方に十分な収入があったので、病院で診断が出た段階ですぐに退職し、毎日寝転がる生活をさせていると早期に回復しました。そこまで大変だった記憶はないです。

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その後は子供も産まれてハムちゃんもとても幸せそうでした。

しかし・・・

第2子誕生で弱者男性のキャパが限界に

第2子が産まれてからイライラすることが増えてきて、自傷行為が出てきたので病院ではうつ状態(うつ病の一歩手前)と言われました。

私は在宅ワークで仕事をしているので普段どんな様子なのかは見ています。

確かに家事育児は大変ですが、仕事をしながらこちらもかなり負担をしていたので、それにもかかわらずなぜ自傷行為までするのかと思い、発達障害を疑い始めました。

病院に行ってWISC検査を受けてもらい、知能の凹凸を測ると、凹凸20でした。(4分野に分けて計測したIQの各分野ごとの差が大きければ発達障害の可能性が高まる)

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病院の予約が非常にとりづらいこともあり、発達障害の正式診断はまだ受けられていないのですが、お医者さんいわく発達障害の可能性はあるそうです。

凹凸20は全体としてみれば高い数値ですが、発達障害の診断を受けた人の中にはもっと高い人も多いのでもしかしたらグレーゾーンかもしれません。ただ、高校生のときからうつ病含む精神疾患3回、うつ状態1回の診断を受けているので、WISCの数値も加味するとグレーゾーンには確実に入っていると思います。

家事・育児の一つ一つの作業が難しいということはないのですが、例えば「料理をしていてちょうど手の離せない工程」のときに、「下の子供がおむつ替えで泣き始めた」ところ、「それに嫉妬して上の子供もウソ泣きで構ってアピールをし始めた」というような状況など、マルチタスクが必要な状況で大きなストレスを感じてしまうようです。

無力感が弱者男性のストレスに

やらなければいけないことが2つ以上同時に発生すると即ストレスにつながるので、「パパがなにか家事をやっているときは途中で子供が話しかけないように子供とパパの間にママが入って通路をふさぐ」など細かい対応をして、さらに仕事も妻側がしているので、「育児でもお金を稼ぐことでも役に立てない」という感覚が強まり、それもストレスの原因になっているそうです。

ある程度家事はしてくれるのでいないよりはかなり役に立っているのですが、子供が将来的に、パパとママのできることの差が大きすぎることに気づいて「パパ不要では?」と思い始めるのではないかと今から不安を感じています。早すぎます・・・。

「俺は養われて幸せ!かわいいハムスター🐹!」くらい割り切れる人であればいいかもしれませんが、「誰かのサポートありでしか生活できないこと」「親として子供にしてあげられることが不十分なこと」にストレスを感じるタイプであれば、結婚できたとしてもそれが新しいストレス源になってしまうかもしれません。

メリット)とりあえず無敵の人にはならない

結婚=幸せでは必ずしもないかもしれませんが、次世代が産まれたことで「自分はいつ死んでもいい」という気持ちになったそうです。

未婚子なしのまま過ごしていたらもしかしたら無敵の人になっていたかもしれない(本人談)そうですが、今はなるべく早く自然に死んで家族に保険金を残したいという方向にネガティブ思考になっています。

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あまりにも保険金を残して死にたいという話を頻繁にするので、あるとき「本気で死んでもいいならいい方法があるんだけど」と言ってみたところ普通に内容を聞きたがったので死にたい気持ちは本当のようです。(内容は、死んでもいいなら報酬数十万の新薬の入院治験を受けてみろというものでした)

2人目が産まれたことをきっかけにうつ状態に突入してしまったわけではありますが、少なくとも人生の達成感は得られたようなので、メンタルクリニックのお世話になりながら少しずつ状況の改善を目指す予定です。

「家事育児」のうち家事の部分は、発達障害でも問題なくできる人はいると思います。我が家はお掃除ロボット、乾燥機付き洗濯機、食洗機があるので家事はそもそもそれほど大変ではないですし、誰かにせかされたり詰められたりすることがない環境なのでストレスも感じにくいです。

ただ、これに育児が加わると大変になってきます。子供が幼児の時期は特に、子供のかんしゃくやわがままが「せかされたり詰められたり」に相当するストレスになります。

子供1人目でもうキャパを超えてしまう人もいると思いますし、ハムちゃんのように2人目の段階で精神科行きになる人もいる思います。

もし結婚した場合は、育児によるキャパオーバーの可能性も事前に考えておくといいと思います。

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