我が家の夫が精神科の先生から「精神障害者手帳3級なら取得できると思うから手続きをするか?」と聞かれたので、近日中に正式に精神障害者になることが決定しました。ASDです。
しかし、グレーゾーンではなく手帳を取れるレベルの重さの発達障害にしては比較的穏やかに過ごしているようです。我が家の場合ですが、精神的に不安定になる要素を排除すれば、健常者の専業主ふの70%以上の働きはできるように感じます。
できる働きが70%以上だとしても、それを実現するために周囲が負担しなければならないサポートの手間が相当大きいので、実際問題としては精神障害者の弱者男性は結婚できないか離婚されるかどちらかのパターンが大きいのではないかと思います。
私も「なんだこのめんどくさい生き物は!?」と思いながらも、最大効率で精神障害者の弱者男性を専業主夫として活用するために理想の条件を探ってみました。
最後の部分では、「そうまでして弱者男性を専業主夫にするメリットはあるのか?」についても触れています。
弱者男性が不調を感じたらすぐに休めるようにする
精神障害者を雇用する際には急な体調不良が発生する可能性があるのがリスクだとされているようです。
「急に休むのは迷惑だから」という理由で無理をしてがんばってしまうと不調が長引く要因になるので、「今日は少し体調が悪いかも」と思ったらすぐに休める環境を整えておくといいです。
これはかなり効果があるのですが、実現が難しいことでもあります。
うちの夫の場合は、本人も特に原因を自覚していなかったり、ささいな原因での不調が週に2回くらい発生します。頻度が多いので、特に子育てがある場合は「いつでもその作業を代理でやってくれる人がいる」状態は確保しづらいです。
我が家の場合は、私が少し収入を落として休みの取りやすい仕事に転職しました。
精神不安定になるタイミングは夫本人もわからないようですが、「なんとなく近日中に精神不安定になりそうな気がする」というくらいはわかるらしいので、わかり次第予告をしてもらうようにしています。
弱者男性が一人でできる作業を中心にする
IQの凹凸がどのように出ているかにもよると思いますが、発達障害の人は人間に関することでストレスを感じていることが多いと思います。
相手の人間がどういう行動を取るかを想像するのが苦手だったり、相手の行動に合わせて臨機応変な対応を取るのが苦手だったりするので、うちの夫の場合は「いろいろ考えすぎてしまって頭が疲れる」「相手を怒らせないように常時緊張しているので疲れる」というのが人間関係が苦手な理由のようです。
ご近所づきあいなどを担当させてしまうとストレス値が高くなってしまうので、よく知らない人間と関わらないといけないシチュエーションはなるべく避けています。
また、うちの夫は「自分がなにか作業しているときに中断される」のをとても嫌がるので、一人で掃除・洗濯・料理に集中できる環境を整えるようにしています。
具体的には、夫が家事をしたいと宣言したらその間子供たちが近づいて邪魔することがないように私が意識して子供の注意をひきつけています。
専業主ふの仕事は、掃除・洗濯・料理など、比較的一人でできる作業が多いので、子供関連だけ気を付ければできることは多いです。その点では発達障害の人に向いていると思います。
成長期の発達障害の子供であれば、苦手な人間関係でもチャレンジさせた方が本人のためかもしれませんが、ある程度大人になって人生のルートが決まった場合、苦手なことは避けて安定して生活するという選択肢をとってもいいと思います。
作業を細かく切り分けて弱者男性の作業負荷を減らす
家庭全体で負担の最適化をするために、「作業を細かく切り分ける」のは効果がありました。
「作業の切り分け」は、仕事で経験の浅いスタッフがチームにいるときに使われる手法です。1つの作業を細かく分割して、経験の浅い人でもできる簡単な部分をその人にやってもらい、難しい部分をほかのスタッフが担当します。
うちの夫は、幼児の「突飛な行動を取る、言うことを聞かない、主張が強い」といった特徴が特に苦手なので子育てには向いていません。
とはいえ、子供がいる家庭なら子育てを片方(妻)が全てやるのは負担が多すぎるので、なんらかはやってもらう必要があり、作業の切り分けが有効でした。
例えば、「子供をお風呂に入れる」という作業でも、お風呂に入りたくないと主張する幼児を風呂場に向かわせる部分がうちの夫は特に苦手です。逆に、一旦風呂場についてしまえば、幼児の体を洗ったりする作業はそこまでストレスではないようです。
そのため、幼児の服を脱がせてお風呂に連れて行くまでを私がやって、風呂場での作業を任せています。
ほかには、野菜を食べたくないと主張する幼児に野菜を食べさせるのはストレスが多いようなのですが、実際にスプーンを口に運んで食べさせるのはストレスではないようなので、「ママと一緒に今日食べるお野菜の量を確認して、がんばって食べるという約束をさせた後」に幼児のお世話を交代して任せたりしています。
黙々と家事をやっているだけでは子供とのつながりが薄くなってよくないので、苦手なことは切り分けてやってもらうのがおすすめです。
ただ、この作業の切り分けは結構負担が大きいです。子供関連でストレスになりそうなシチュエーションは1日に何十回も発生するので、常時観察しておく必要があります。しかもその都度、「私がこれをやってあなたがこれをやる」といううまい分割案を考えないといけません。
小学生の引率の先生のような気分になりますし、一生毎日これをやらないと平穏に暮らせないのかと思うと疲れてきます。
弱者男性が弱音を言えるようにする
発達障害の人の特徴に、「怒られるのが怖い」「無能と思われるのが怖い」というのがあるそうです。
それまでの人生で失敗経験が多かったので臆病になっているんだと思います。うちの夫も、私が迷惑がっているように感じると我慢してがんばってしまいます。その結果しばらくしたら倒れるのでトータルでは損失になります。
不調を感じたらすぐに伝えてもらいたいですし、作業の切り分けのためにどの作業の負荷が高いのかを正確に答えてもらいたいので、苦手なことを正直に話してもらう必要があります。
そのため、「嫌がられている」「迷惑がられている」と感じないように対応する必要があります。
私が気を付けているのは、面倒だなと感じても顔には出さないこと、褒めることです。
発達障害の夫と健常の妻だと、能力的にはほとんどの面で妻が優れているように見えると思いますが、よく見ると夫の方が得意なこともあるはずです。
うちの場合は、車の運転と子供のだっこです。
交通ルールは罰則があるので、車道は一般社会の中では比較的ルール通りに動いている場所です。しかも「ルールを破った方が100%悪い」という世界なので、白黒思考のASDの夫には向いているようです。
私は運転が苦手なので運転をすべてやってくれるのは助かっています。男性の方が体力もあるので、子供のだっこをしてくれるのも助かります。
障害者施設のケア職員になった気分で一般人より基準を下げて無理やり褒めるとさすがに本人も察知してしまうので、ちゃんと役に立っていることを探して褒めるようにしています。
「役に立っている」という方向で褒めるのは、よく観察してなにか見つければやりやすいですが、それより自己肯定感を上げることができるのは「好かれている感」です。
女性はやはり男性に「頼りがい」を求めるのでなかなか難しいとは思いますが、私は夫がいろいろできないことが多くてしょんぼりしているところがちいかわみたいだなと思ってよくかわいいかわいいと言っています。これがかなりメンタルの安定に貢献していると思います。
弱者男性を専業主夫として働かせるメリットは基本的にない
現代社会は精神障害者の数が多すぎて、全員が幸福に過ごせるほどのサポートは提供されていません。そのため、Xでも「殺してくれ」「産まないでほしかった」という意見をよく見かけます。
私がいろいろと試したところによると、ここまでで紹介した3点に気を付けてサポートを提供する人がいれば、精神障害者の弱者男性をある程度活用することはできるのではないかと思います。
生活保護を受給するよりは、働く女性のサポートに回って専業主夫をしてもらうほうが社会全体としては圧倒的にメリットがあるでしょう。
ただ、女性側から見ると、「メンタル不調の際に常に自分が作業を肩代わりできる体制を作る」「ストレスのかかる作業は自分が担当するように分配方法を考える」「笑顔で褒めたり励ましたりする」という負担が発生することになります。
この条件では結婚したがる女性はほとんどいないと思います。
もしどうしても結婚したくてワンチャン狙うとしたら、上記の負担を想像して女性側がドン引きする程度には男性側が敬遠する悪条件を備えた女性、かつ能力的に負担に耐えられそうな女性になるのではないでしょうか。
婿養子希望、高齢、見た目が悪い、性格がきつい、宗教などの複数の悪条件を持っている人などです。
学費が高額の私立幼稚園の近くに住んでいる人と話すと、「パパ活みたいな、高齢男性と美人の若い女性はたまに見かける」という話をたまに聞きます。そういう人たちが純粋な恋愛であれば失礼な話なのですが、女性の側は経済力等の実利的な条件と引き換えにほかの条件を諦めることはよく行われているように思います。
記事内のイラストは弱者男性LINEスタンプとして作ったものなので、気に入った方は使ってみてください。